怖がりな兎さんとからかう狼さん
「帰るのか?」
「いえ、ちょっと寄り道をします」
「あれ?もうすぐ小テストがあるって言っていたのは誰だ?」
「問題ありませんよ。自信がありますから」
「寄り道って、何か欲しいものでもあるのか?」

 先輩は少し身を屈めて、私の顔を覗きこむ。
 こんなところを女子達が見ていたら、騒ぎ立てるんだろうな。

「本でも見に行こうかと思いまして・・・・・・」
「俺も行く」
「どうぞ」
「あれ?拒絶しないのか?」
「したって、ついてくるのはわかっていますから」
「さっきのようにキスをしてほしいからかと思ったが、違ったか」

 はっきりと言わないでください!誰がどこで聞いているのかわかったもんじゃありませんから!

「変な誤解しないでください!あんなこと・・・・・・」
「気持ちよくなかったか?」
「下手だなと思いました」
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