怖がりな兎さんとからかう狼さん
「本の数が多いですね」

 今までいろいろな本屋へ行ったことがあるが、ここまで大きい本屋ははじめてかもしれない。

「そうだな。かなり広いからな」

 ゆっくりと歩きながら見ていると、気になる本があったので、手に取ってみた。
 あらすじを読むが、あまり面白くなかった。再び歩き出して別の本を読んでみる。しばらくその行為を繰り返していた。
 少し離れたところで海翔先輩は本を読んでいた。
 買いたいものはないかなと思いながら、本を読んでいくと、自然と本の世界へ入っていくことができた。
 半分以上読んだところで海翔先輩が隣へ来た。
 手には何も持っていない。
 私はまだ読みかけの本を棚にしまった。

「いいのか?」

 本当は最後まで読みたいとは言えない。

「はい」
「俺はもう少し読む。お前も読んでいろ」
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