怖がりな兎さんとからかう狼さん

　自分の席に着こうとしたとき、机の角にぶつかった。
　スカートのポケットに何かが入っていることを知り、手で探ると、小さなメモが入っていた。
　テストが終わったら、いつものところに来るように書かれていた。
　結果を知るためだろう。さっき、会ったのだから直接言えばよかったのにと思った。
　あと二週間、頑張ろう！
　家でも学校でも、とにかく書いて読んでの繰り返しだった。
　テストの当日では空欄はなく、間違いがないか、何度も確認した。
　そしてテストは無事に終了した。生徒達はテストが終わると、一気に安心感に満ちていた。
　その一週間後にすべてのテストが返却された。それらを抱えて、海翔先輩のところへ行くと、すでに待っていた。

「先輩、テストを返されました」
「見せてみろ」

　一枚一枚広げて見せた。どれも点数が高かった。

「それじゃあ、約束どおりに褒美を今日やる」
「何をしてくれるんですか？」
「荷物を持て。学校を出るぞ」