~secret garden of flowers~

崖の下を覗き込むと、人間の男の子が大量の血を流して倒れていた


「たっ、大変!!」


ドラゴンに意識を戻せば 喉に溜め込んでいた炎を一気に吐き出すところだった



男の子は怪我のせいなのかピクリとも動かない




<風の精霊よ 我が身を守る風の障壁となれ>


詠唱を唱えると同時に崖を飛び降りた



ゴゴゴゴゴォーーーー




大地を揺らすほどの風が轟音と共に巻き起こり男の子と炎の間に壁をつくる



「大丈夫・・・じゃないわね」


声を掛けると男の子と目が合う


「動けそうにないから、このまま移動するよ」


そう言って 男の子の首の後ろに腕を回して固定する

その口が何か言いたそうに微かに動いたが言葉を発する事はなかった



「何か言いたそうだけど話は後ね。グズグズしてたら丸焦げになっちゃう」



風の障壁は一時的でエンシェント・ドラゴンの吐き出す炎に破られるのは時間の問題


苦笑いしながら首に回した腕と反対の掌を地面にそっと置いて精霊を呼び出す



<大地の精霊よ 異界の扉を開き 我らを導きたまえ>


ズズッ...と地面に亀裂が入ると、そこから眩いばかりの光が現れ
自分達の周りを囲み始めて そのまま地面の奥深くまで導かれた






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