キミとの恋に気づいたとき
 生きているってわかるなら、戻れるんじゃ。

 そう追い込みをかけると雷のごとく鋭い言葉が私を駆け巡る。


『お前はバカか?戻れるならこんなとこにはいない』

「・・・バカじゃ・・・ないもん」


 バカ気ているのはこの状況だ。

 まったく腹が立つ、なんて男だ。


「・・・男」


 そう、男。
 この乱暴な口調、口の悪さ、さらに私をかばい無傷で生還させたのならば私よりも体が大きいはずだ。
 
 しかしこの「人」か「魂」は素性を一切明かしてはくれなかった。


『ふん、幼稚な考えだ。お前より大きい女はこの世にはいないのか?』

「じゃあ、低い声は?」

『探せばいくらでも低い声の女はいる』


 へ理屈ばかりで肯定を一切しない。
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