ねえちゃん
パーティーの前にチャペルで式を行ったねえちゃんは、真っ白なウエディングドレスに身を包んでおごそかな顔をして、なんだか知らない人みたいだった。
…そっか、もう野島郁実なんだな。俺の知ってるねえちゃんじゃないんだ。
バージンロードを歩くねえちゃんを見ながら、俺はそんな事を考えていた。
「貴文。郁実、パーティー用のドレスにお色直ししてるから控え室行って様子見てきてよ」
「んー」
俺は招待客への対応で忙しい母さんの代わりに、ねえちゃんの控え室へと向かった。