ねえちゃん
「俺に言えば迎えに行ってやったのに」
「自転車で?やだよこの歳でチャリに二人乗りだなんて」
キッチンのドアを閉めた事で、俺達はさっきより声のボリュームをあげて喋った。
「チャリが嫌ならバイクの免許取るから一緒に父さんに頼んでよ」
「父さん反対してるんでしょ?じゃあ私も反対だな。第一、貴文には危ないよ」
冷蔵庫のドアを開けながらそう言ったねえちゃんの言葉に俺はカチンとする。
「危なくねーよ。いつまでも子供扱いすんなよ」
「子供でしょ。無理しないの。事故でも起こしたら母さんが泣くよ」
「うるせえ」
俺は顔を背けたまま、テーブルを挟んでねえちゃんの向かい側の椅子に座った。