遠距離恋愛。
雫
「あーもう。まただ…」
その言葉と共に、
頬を一粒の涙がつたう。
こぼれた涙は、
新着メール無しと知らせる
携帯電話の画面へと落ちた。
一週間前、街中は
年に一度のバレンタインデーで盛り上がっていた。
私、相沢結(アイザワ ユイ)も
その中の1人だった。
相手は、一つ上の学年のモテ男ナンバー2とも言われている、
富田 優斗(トミタ ユウト)先輩。
テニス部、高身長、成績優秀。顔はほどほどのイケメンなのかもしれないというところだろうか。
欠点を言ってしまうとしたら、とにかくチャラい。
富田先輩に彼女がいない時期なんて、今まで聞いたこともなかったくらいだ。
そんな先輩から何ヶ月か前
急にメールが来て、やりとりをしているうちに好きになってしまった。
そしてバレンタインデー当日、
大好きなピンク色の箱にチョコレートを入れて、渡した私。
告白はしてない。
「義理じゃないです」とは言ったけど。
だから返事もない。
当日渡した後に家に帰ったら
「ありがとう」とメールは来ていた。
でもそれから一度も返信が無いのだ。
さすがの私も気づいた。
この行動からして
私は嫌われたんだ。
いつもそうだった。