空を見上げて【短編】
「桜っ!」

教室に入るとてっちゃんが心配そうにかけてきてくれた。

「てっちゃん!」

「どうしたんだ?そんなに濡れて…」

「……」

「今日雨だろ?こいつ、傘さすのも忘れてたんだって。」

言葉に詰まったあたしの隣で気を使ったのか空が嘘をついてくれた。

「えええっ?!さ、桜大丈夫かっ!?」

てっちゃんは持っていたタオルであたしを優しく拭いてくれた。

「大丈夫!ありがと!」

「そっか。」

てっちゃんは優しく笑う。

それを見て、なぜか胸が痛んだ。

…?どうしたんだろう?

あたしは見て見ぬ振りをしていたのかも。

あたしの気持ちに。



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