シニカレ

Story2

あたしは、暗い。
一言で言ってしまえば“根暗”だ。

そのため今までちゃんとした友達付き合いをしているといえるのは、
繭くらいだ。

繭と言うのは、芦屋繭。
小 中 そして高校も一緒のあたしの唯一の友達だ。
しかし、友達と言っても、
あたしと繭では、性格も雰囲気も正反対で、
そう思っているのはあたしだけなのかもしれない。
それでも、あたしのことを気にしてくれる。

まぁ、今はそんなことはいいんだ。

ただ、今 大事なことは根暗で友達がほぼいないということだ。
そして、そんなあたしにコミュニケーション能力もあるはずがない。
それなのに、どうしてどうしてどうして・・・。

いきなり道をたずねられたと思ったら、
同じ学校だからって、一緒に学校まで行ってほしいとか言われて…。
んで、そのまま電車に乗ってるんだが、
何故に、体と体がくっつきそうなくらい近いんだ。
確かに、電車は満員だけれども、
あたしとあんたは、出会ってまだほんの十数分だ。
それなのに、あんた近すぎない?
というよりも、あたしはあんたの名前も知らなければ、
顔すらもまだ見てないんだけど?

「ねぇ、君、名前なんていうの?」

な、なんですか?確か、今 あたし名前知らないと思ったけど
何故、あたしがあんたに名前を言わなくちゃいけないの!?


「ねぇ?無視するの?なんで?」

・・・無視なんてしてません。
ただ、コミュ障なだけです。
というか。人に名前を聴くときは自分が先に名のるのが、
普通なんじゃないんですか?
いくら、あたしがコミュ障でも、そういうことは知ってます。
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