ベッドから始まる恋。
「あの、名内さん」
「…?」
すると不意に名前を呼んだのは、以前『雰囲気が変わった』と言ってくれた男性社員。
「?はい?」
「今夜、暇?」
「予定はないですけど…」
「よかったら、食事どう?」
「え?」
「名内さんのこと、前から気になってたんだよね」
「……」
少し緊張した面持ちの彼に、それはつまりそういう意味の誘いなのであろうことをさとると、私はそれに小さく頷いた。
「…いいですよ」
前までならきっと断ってた
怖かったし、疑っていたし
けど、少しは勇気がついたから
(…ここで進まなきゃ、ハルのことも消えないし)