ベッドから始まる恋。
「マティーニ、ひとつ」
「いきなりマティーニって…大丈夫?」
「大丈夫」
「…かしこまりました」
空腹にいきなり強めのお酒、ということで心配する彼に私は素っ気なく言っては外を見た。
(少し飲んでから食事にしよう…)
「お待たせ致しました、マティーニになります」
「…ありがとう」
そうしてすぐに運ばれてきたのは、グラスに注がれたクリアな色の綺麗なお酒。
グラスをそっとテーブルに置くその指先から、不意に見上げた視線。その名札には変わらず『早良』の文字がある。