ベッドから始まる恋。
「話はそれだけ。ごめんね、仕事中に」
「ううん、…社員証、ありがとう」
「どういたしまして。…あ、あとこれ」
「…?」
そう差し出されたのは、彼がずっと右手に持っていた小さな紙袋。中をみればテイクアウトのサンドイッチとコーヒーが入っている。
「お昼に来た友達の子たちが、『霞お昼食べてないみたい』って話してたから」
「…あ、じゃあお金」
「いらない、いらない。俺のオゴリ」
「…ありがとう」
「どういたしまして。じゃあ、またね」
それだけを済ませては、彼は手を振りお店の方へと戻って行った。