ベッドから始まる恋。
明かりの灯る夜の街を、少し背の高いその姿と歩く。
空気はすっかり冷え込んで、はぁ…と吐き出した息は真っ白く染まった。
「…いつも、こんな時間まで?」
「うん。朝からだともう少し早くに終わりだけど、昼からだとこの時間まで」
「へぇ…長いね」
「まぁね。でも忙しければあっという間だし」
週末の夜ということもありまばらに行き交う人波のなか、向かうのは私の家の方向。
「…家、こっち方面なの?」
「ううん、反対」
「え!?じゃあいいよ、一人で帰れるし…」
「それが心配だから送るって言ってるの。家、少し距離あるでしょ?」
「?何で知って…」
「よく三人で話してるの聞こえるから」