ベッドから始まる恋。
「映画、どういうのが好き?」
「ホラー以外なら何でも」
「んーと…じゃあ、洋画のラブストーリーにしようか」
「うん」
そうしてやってきた映画館で、ハルはそそくさとチケット売り場へと向かう。
「すみません、2番の映画大人二枚。ペアシートで」
「3600円になります」
そしてチケットを買って一枚をこちらへと手渡した。
「お金、払う」
「ううん、いいよ」
「よくないよ。この前のサンドイッチもホテル代も…」
「霞ちゃん、女の子なのにそういう所きっちりしてるんだね」
「当たり前!」
「俺彼女にはお金使いたい男だから、大丈夫」
お財布を取り出す私の手をそうポン、と押さえて中へ向かう。見栄を張ったり無理しているようでもなく、至って自然なその姿に感じるのは彼の手慣れた雰囲気。
(…慣れてるなぁ)
女にも、優しくすることにも。