二面相
「大樹は 周りのみんなみたいに、スポーツとかしたい?」


「うん。でも お母さん、仕事で 忙しかったんだろ?お金もかかるし。柏木くんは ノータッチだもんね」


そこは 私も 悪い。大樹の友達の親に あの男のことを 知られたくなかった。

籍の入っていないことを知られるのが嫌だったし、

あの、ノンベンタラリとした性格。これが意外と女ウケがいい。


へんな嫉妬心で、ヤツを家に閉じ込めていたのだ。


「大樹は 何がしたい?」


「野球。キャッチボールってやってみたい。学校で、きちんと練習したら伸びるって言われたんだ」



「……そう」



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