二面相
私に 今まで 嫌な仕事ばかり押し付けてきた先輩や、頼ってばかりで成長しない後輩とあっさり縁を切ろうと思ったのに。



子供が大きくなってからは、有給もろくに取らず働いてきた。


後のことはまた考えよう。取り合えず私は休みたい。休まなければ、心が壊れてしまう。




その後、部屋に戻って、荷物整理をした。



そこへ 柏木が 帰ってくる。


私が体調を崩してから、多少後ろめたいのか、


「ちょっと 出てくる」

と 言っては、数時間留守にし、パチンコの景品を持って帰ってくる。


その日も例外ではなかった。だが、手ぶらなところを見ると どうやら大負けをくらったらしい。



パチンコで 遊んだ金も 私が一生懸命働いた金だ。


そう思うと 柏木の顔もみたくない。


「何してるの?」


柏木は不思議そうにこちらを見ている。


「私、大樹連れて しばらく実家に帰るから」


「ふーん。いつ帰ってくるの?」


「さあね」


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