二面相
列車の天井には 扇風機がついていて、一定の間隔で涼しい風を送ってくる。

駅に止まると 蝉の鳴く声と同時に 部活に向かう高校生の集団が がやがやと乗ってきた。


その集団を見ていると、懐かしい気持ちになり、ふと、側で ゲームをしている息子をみた。








私が息子を産んだのは、高校を卒業してすぐのこと。


大きくなるお腹をなんとか隠して 卒業式を迎え、家出同然で 父方の祖母の家に 転がりこんだ。




子供を産みたい という気持ちを 理解してくれたのは、 今は亡き 祖母だけだった。

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