二面相
夕飯は 兄が 帰るのを待って 始められた。
兄は 私の事情を聞くと、
「ほれ見たことか」
と笑った。
酒が入ると 兄はくどい。
「アイツとは まだ、一緒にいるのか?」
兄を 一度だけ 柏木に合わせたことがある。
両親には 伝えてはいないが、薄々感づいているようだった。
「あんなヤツと 一緒にいるからだ。麻子。アイツは 今流行りの、ほら なんだっけ、美紀」
「草食系?」
「そうそう、草食系で、ニートで まあ 世の中の問題点を 抱えこんだようなヤツじゃないか」
「お兄ちゃん、大樹もいるんだから、なにもそこまで言わなくても……」
「お前、肩を持つところをみると、まだ 気があるんだろ。悪いことは言わん。別れろ。苦労するだけだ」
「でもね、大樹の小さい頃は、本当に助かったのよ。よく面倒見てくれたし」
私はなぜ自分が柏木の味方をしているのかわからなくなった。大樹が 聞いているからか、幸せを見せ付けて見下しているように見える、義姉がいるからか……。はたまた本音か?
兄は 私の事情を聞くと、
「ほれ見たことか」
と笑った。
酒が入ると 兄はくどい。
「アイツとは まだ、一緒にいるのか?」
兄を 一度だけ 柏木に合わせたことがある。
両親には 伝えてはいないが、薄々感づいているようだった。
「あんなヤツと 一緒にいるからだ。麻子。アイツは 今流行りの、ほら なんだっけ、美紀」
「草食系?」
「そうそう、草食系で、ニートで まあ 世の中の問題点を 抱えこんだようなヤツじゃないか」
「お兄ちゃん、大樹もいるんだから、なにもそこまで言わなくても……」
「お前、肩を持つところをみると、まだ 気があるんだろ。悪いことは言わん。別れろ。苦労するだけだ」
「でもね、大樹の小さい頃は、本当に助かったのよ。よく面倒見てくれたし」
私はなぜ自分が柏木の味方をしているのかわからなくなった。大樹が 聞いているからか、幸せを見せ付けて見下しているように見える、義姉がいるからか……。はたまた本音か?