イジワルするのはキミ限定*
私、この場に不釣り合いだ。
Tシャツはピンクでかわいいけど、ショートパンツは動きやすいように柔らかい生地のだし。
しかも足元は抱っこされてここまで連れてこられたから裸足。
髪も朝クシでとかした程度だから学校のときみたいにストレートにしていない。
なんか拾われた子みたいたな…。
そんなことを思っていると、スーツさんがひとつの扉の前で足を止めた。
コンコンッ
そして器用に片手で扉をノックする。
「佳人様、野上 柚様をお連れしました」
スーツさんが中にいるらしい佳人様に話しかけると、しばらくして「入れ」という命令口調が聞こえてきた。
あれ?
この声どこかで聞いたような…。
頭を捻って声の主を思い出しているとスーツさんが扉をあけた。
「……み、水沢くん!?」
「そんなに驚く?」