イジワルするのはキミ限定*


私、この場に不釣り合いだ。



Tシャツはピンクでかわいいけど、ショートパンツは動きやすいように柔らかい生地のだし。



しかも足元は抱っこされてここまで連れてこられたから裸足。



髪も朝クシでとかした程度だから学校のときみたいにストレートにしていない。



なんか拾われた子みたいたな…。



そんなことを思っていると、スーツさんがひとつの扉の前で足を止めた。



コンコンッ



そして器用に片手で扉をノックする。



「佳人様、野上 柚様をお連れしました」



スーツさんが中にいるらしい佳人様に話しかけると、しばらくして「入れ」という命令口調が聞こえてきた。



あれ?



この声どこかで聞いたような…。



頭を捻って声の主を思い出しているとスーツさんが扉をあけた。




「……み、水沢くん!?」



「そんなに驚く?」



< 116 / 350 >

この作品をシェア

pagetop