イジワルするのはキミ限定*
お礼を言うと水沢くんはフイッと私から視線を逸らしてそう言った。
「でも、助かったから。ありがとう。それじゃあ、また学校でね?」
私はそう言い、せめて水沢くんが車に乗るのを見届けようと思った。
だけど水沢くんは私の前から動かない。
どうしたんだろう?
「水沢くん?どうし……」
“どうしたの?”という疑問の言葉は最後まで言うことができなかった。
グイッと軽く腕を引かれたと同時に、額に感じた温かいもの。
そして、しばらくしてチュッとリップ音が小さく響いた。
「またね」
リップ音が消えると、水沢くんは私にそう言い残して車に乗った。
車が走って行って、私ひとり取り残される。
な、なにいまの……。