イジワルするのはキミ限定*
「じゃあ柚子、バイバイ〜。白雪姫の衣装、楽しみにしててね!」
「あ、うん!バイバイ……」
劇の衣装係になることのできたサアヤちゃんは、上機嫌で帰っていった。
もう全部役も係りも決まっちゃったのに……。
今さら、変えてほしいなんて言えない……。
……胸のモヤモヤが残っていて、うまく演技をできるか不安だけど、やるしかない、よね。
もしまた水沢くんとのことを誤解されそうになったら、今度はハッキリと「なにもないよ」って言えばいいんだ。
しっかり、しないと。
「……頑張ろう」
拳を作って、気合を入れた。
絶対成功させて、楽しい文化祭にしよう。
――この文化祭で、少しでも私の気持ちが水沢くんに伝わるといいな。
……なんて、思った。