イジワルするのはキミ限定*
ホッとして胸をなでおろす。
「じゃあ、次は通して読んでみよう!それで、明日から動きもいれて練習してみようか!」
「「「はーい」」」
明日から、本格的な練習がはじまる。
みんなの足引っ張らないようにがんばらないと……。
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「それじゃ、次は野上さん、狩人に促されて森を抜け出し、小人の家につくところ。ここで、いっかい幕が下りて背景変わるから、幕が上がったら野上さん出て」
「は、はい!」
「幕が上がったところから、はじめて。『こんなところに……』から。ここは、ちょっと戸惑ってる感じでキョロキョロしてみて」
大谷くんの言葉にうなずき、台本のページをめくって指定されたページを開いた。
ここだ……。
私はすうっと息を吸い、演技をはじめた。
「『こんなところにお家が……。入って、みようかしら』」