イジワルするのはキミ限定*
●好きだよ、キミのことが
それから文化祭当日まで、あっという間だった。
家でも劇の練習をしたおかげもあって、演技はふつうに上手くなれた。
吉野くんや、榊さん、塚本くんにも何度かほめられたりして……たまに息詰まるときもあったけど、なんとかやってこれた。
そしてこの文化祭の準備期間で、また水沢くんと近付けたら、なんて思っていたけど……。
……まったく、進展なしだった……。
いくら王子様と白雪姫といっても、ふたりがちゃんと絡むシーンって最後のほうだし、劇終わる少し前だから……全然、近付けないっていうか。
「……はぁ」
水沢くん、準備期間はほとんど女の子たちに衣装合わせやらなんやらで女の子たちに囲まれてたし……。
前まではそんなの見たって、「すごいなぁ」くらいにしか思わなかったのに。
好きだって気づいたら、モヤモヤする……。
私って、意外と嫉妬深い人間だったのかも……。