イジワルするのはキミ限定*
水沢くんはみんなの王子様だから、しかたないことなのに……。
やっぱり、モヤモヤする。
うぅ……これから本番だっていうのに、こんな気持ちじゃ失敗しちゃうよ!
「……――水沢くん、野上さん。最後の確認するからちょっとこっち来て!」
幕の閉じている舞台裏で着ていたドレスをギュッとにぎってモヤモヤした気持ちどっかいって……と念じていると、後ろから大谷くんの声が聞こえてきて私はそっちに向かった。
水沢くんは王子様の衣装を今着替え終わったみたいで、小走りで私のとなりに並んだ。
う、わぁ……。
となりにいる水沢くんに、思わず見とれる。
王子様の格好、似合いすぎだ……。
そういえば、衣装合わせのときとかみんな悲鳴あげてたっけ……。
悲鳴が上がったワケが、今ようやくわかったよ。