イジワルするのはキミ限定*
なんて考えていると聞こえた大谷くんの言葉。
“ほっぺにチュー”なんて言葉を聞いて、私は目を見開いて聞き返してしまった。
ど、どういうこと!?
どこからほっぺにチューが……!!
タラタラと冷や汗が体中を流れる。
「ど、どうしたの野上さん……。いきなり大きな声出して」
「ご、ごめんなさい……」
目をパチパチさせながら驚く吉野くんに向かって急いで謝る。
でも、疑問は消えないままだ。
「だいじょうぶだけど。……ほら、白雪姫がさ、棺の中で王子様からキスされるシーンがあるでしょ?」
「う、うん……」
たしかそこシーンは、顔をある程度近づけてキスのフリだけなはず。
そこからなぜにほっぺにチューに……。
「でもさ、やっぱり顔近づけるだけじゃステージ近くの人にはフリだって分かっちゃうと思うんだよね。だから、ほっぺにチューしたら分からないかなって」
「な、なるほど……」