イジワルするのはキミ限定*
だからほっぺにチューとかいうことになったのは理解できるけど……。
水沢くんは、オーケーしたのかな?
気になって水沢くんのほうをチラリと見た。
水沢くんはとくに動揺する様子もなく、平然とした顔でいた。
「……てなかわけなんだけど、野上さん、やっぱりイヤかな?水沢くんも」
「え、と……」
いきなりそんなこと言われて私も正直動揺しているというか……。
というか、水沢くんは私とキスしていいのだろうか……。
イヤ、とか思わないのかな。
なんて、水沢くんのこれから聞こえる返事に不安を持っていると……。
「僕は構わないよ。劇が最高のカタチで終わるなら、協力するまで」
と、水沢くんの落ち着いた声が聞こえた。
その言葉が、劇の成功と、“完璧な王子様”としての立場を守るためのものだと分かっていても……うれしかった。