イジワルするのはキミ限定*
けど『ユズコ』って呼ぶのは彼しか……!
そうこう考えていると、フッと目の前に影ができて顔を上げれば彼が立っていた。
ひいぃ……!
私が顔を上げると、彼はフッと笑みを浮かべる。
このなにかを企んだような、自信満々の笑み……!
「久しぶりだな、ユズコ」
「…………お、汪爾くん?」
「正解。まさか、こんなとこでユズコと再会するとはな」
そう言いながらニヤリと笑う彼を見て、私は中学3年生のときのことを思い出した……。
――獅童 汪爾[しどう おうじ]
世界でも有名な獅童財閥の御曹司で、私の中学の同級生。
どうしてお坊ちゃんな彼が極ふつうの中学に通ってたのか本当不思議だった。
だけど、特別彼と接点があったわけでもないし関係はただのクラスメイトだった。