イジワルするのはキミ限定*


イケメンだとは思うけど。



「なーんか、ユズコっておもしれー。気に入った」



「……え?」



き、気に入った……?



なにが?と思いながら彼を見ると、彼はニヤリと笑う。




……それからが、悪夢というか、獅童くんと強制的に関わることになったはじまり。



呼び方を無理やり“汪爾”にさせられたり。



事あるごとに私に構ってきて……。



……本当、苦難の連続だった。





だけど中3の秋に汪爾くんは、お父さんの仕事の都合でアメリカに引っ越してしまい、それ以来会うことはなかったのだけど……。



まさか、高校で一緒になるなんて思ってもみなかった。





「ちょ、柚子!このイケメンと知り合いなの!?」



「えっ……。あ、うん。中学が同じで……」



サアヤちゃんの少し興奮した声で我に返った私はそう説明した。



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