イジワルするのはキミ限定*



その言葉に反応して私は顔を上げる。



顔を上げて見えた汪爾くんの顔は……苦しそうだった。



「お前を、アイツに渡したくない」



「え、ちょ、汪爾、くん……?」



次にはそんな言葉が耳に入って。



それと同時に汪爾くんのきれいな顔が近づいてきていることに気がついた。



「お、汪爾くん……っ?ちょ、腕離してっ」



「離したら逃げるだろ?」



腕を離してもらおうとするけど、そう返されて逆にさらに強く壁に押し付けられた。





……すでに汪爾くんとの顔の距離は数センチ。



少しでも顔を動かしたら、唇が触れてしまいそう。



や、やだよ……。



汪爾くんのことは好きだけど……こんなこと、したくないっ。



こういうことするのはやっぱり……水沢くんじゃなきゃ、ヤダ……!!



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