イジワルするのはキミ限定*



はじめて汪爾くんのことを怖いと思った。



「……み、ずさわく……っ」



「水沢くん」って声に出そうとするけど怖さのあまりにちゃんと言えない。



……助けて。



水沢くん……!!



私はギュッと力強く目をつむり、心の中で水沢くんに助けを求めた。




「……ちょっと汪爾くん?僕のものに手、出さないでくれる?」



すると、静かな校舎裏に響いた聞き慣れた声。



「……みず、さわくん……?」



「水沢くんだけど?」



「……っ。水沢く……っ」



フッと余裕の笑みを見せた水沢くんを見て、自分の中の恐怖の糸が切れた。



その瞬間に涙がポロポロと溢れ出す。



「はい、離して。これ僕のだから」



水沢くんがそう言うと、汪爾くんから私を解放した。



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