イジワルするのはキミ限定*



水沢くんに肩を抱き寄せられて、ホッと安心感が生まれる。



それと同時に、水沢くんが少し肩で息をしていることに気がついた。



……もしかして、私のこと、走って探してくれた?



水沢くん……。





「……で、キミ。僕のものに手出そうとするなんていい度胸してるね?」



「っ……」



「この子のこと好きなのは構わないけど、泣かせていいのは僕だけだからさ。勝手なマネしないでくれるかな?」



「……ユズコ、悪い」



「ううん、だいじょうぶ……」



眉を八の字にして謝ってきた汪爾くんに、首を横に振る。



だれにだって、我を忘れるときはある。



ただ、怖かったってだけで……。



でも、汪爾くんのこと、人としてはきらいになれないよ。



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