イジワルするのはキミ限定*
「じゃあ、断っちゃうの?」
「当たり前。ほら、はやく返事書いて」
「え、また……?」
これまに結構な量の手紙を、水沢くんの代わりに代筆してきた。
でも、さすがにここまで気持ちがこもっている手紙の返事を、私が書いていいものかどうか。
「水沢くん。これ、水沢くんが自分で書いた方がいいよ。私が代わりに書いたら……校條さんの気持ち、踏みにじるようなことしてるよ」
「大丈夫だって。ていうか僕、その校條って子のこと知らないし」
「でも手紙に水沢君に助けてもらって、って感じのこと書かれてるけど……」
「そうなんだ。でも記憶にないなぁ。とりあえず、代筆してよ。書き終わるまで待ってるから」
「…………」
どうやら、なにを言っても水沢くんは自分で書く気はないらしい。
なら最初から、お礼の手紙なんて書かなければよかったのに……。