『武士ドルが斬る!?』
〈後編〉
閉ざされた扉の向こうでうっすらと声を震わせ強気で言葉を続ける。
「なりませぬ…!
この帰朝いつか濃…!!
信長様の寝首を介し首打ち取ってくることまだかなえてません。
最後まで殿に仕える道を選んだのは……お濃…!!
あなたです!!
あなたの望みは私の願い!!
必ずその想い叶えあいまみえましょう…。」
かすかにもれる月の光がトラックのとびらから直線に魔王の書が光を帯び始めた。
「―――殿……!!
“魔王の書”が光を‥‥!!」
徳家くんの声が響いた‥‥。
悔しさからか濃君は扉にはりつき微動だにしない‥。
そんな姿を黙って見ていた殿はゆっくり濃君‥もといお濃の背後に歩いていき肩に手をかけた。
「油断したお主の負けじゃ!!
美濃のマムシの娘ぞ!!
言い出したら聞かぬのもお主がよく知っておろう‥‥。
帰蝶の想いくんでやれ…。」
「――殿‥‥‥。」
ポツリ…と扉をむいたまま濃は肩を震わせ呟いた。
「……ったい……!!
絶対……!!
迎えにいく!!
帰蝶の想い無駄にはしない……!!」
お濃は扉の向こう側にいる帰蝶に向かって声の限りに叫ぶ。
―――すると………。
「お待ち申しあげております。
その時までさらば……でございまする。」