『武士ドルが斬る!?』
〈後編〉
伏見がちに目を細め口元の口角をあげて私の手をとった。
「あなた様から頂いた…類…というお名前…。
一度も日の光を浴びる事はなかった…ですが私は大切に今後も名乗らせて頂きます。
――お会いしとうございました。」
強気な瞳が優しく輝く…。
「ありがとう…。
ごめんね…。
今はそこまで覚えてなくて…。」
自然にこみ上げてきた想いが口をついた。
……彼女の事思い出したい気持ちが溢れてくる。
「いいんです…。
今は…真帆様でしたかしら?
どちらにしても大事にいたらなくて良かった。」
申し訳なく謝る私に…帰蝶はほっと安息をついて…次に殿を厳しい目で睨む。
「まったくあちらこちらで火種を放ちもし姉さまが大惨事に巻き込まれたらどうするんですか?
本能寺の後…明智は打たれ今やサルが毛利と和解して中国大返しを果たしいつここも見つかるやら分からぬ状況にあのような鉄だか分からぬ荷車で現れただいま戻ったじゃすまされませぬ…!!」
「そーかあ…ついにサルやったか…。」