月下の誓約
一旦言葉を切って、慎平はチラリと和成を見た。
そして再び俯き、意を決したように続けた。
「今回、紗也様の身が危険に晒されたという事で和成殿が処罰されると聞きました。ですが、私には和成殿に落ち度があったとは思えません。失礼ながら私は隣でお二人のやりとりを全て見聞きしておりました。あの時、紗也様は”お手洗いに行く”とおっしゃいました。和成殿は塔矢殿に”目を離した”と言われましたが、女性のお手洗いについて行けるわけはありません。むしろあれだけ真摯にお願いされたにもかかわらず砦を出て行かれた紗也様の行いの方が軽率だったと……」
「それ以上言うな」
慎平の言葉を遮り、和成は厳しい目で彼を見据えた。
「我々臣民が君主を批判するべきではない」
「すみません」