月下の誓約
肩を落として小さくなった慎平を見て、和成は表情を緩める。
「まぁ、毎日紗也様を怒鳴りつけては塔矢殿に小言を言われてる私が言っても説得力ないか。君が私を心配してくれる気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
そう言って和成は席を立った。
見上げる慎平から目を逸らし、ポツリとつぶやく。
「君が軍師になってくれるなら、私も安心して逝けるかな」
「そんな……」
悲痛な面持ちで見つめる慎平を、和成は笑顔でごまかす。
「顔洗いに行くだけだよ。血が付いたままだったの忘れてた。少しの間、ここ頼んでいいかな」
「はい……」
まだ不安そうな顔をしている慎平を残し、和成は司令所から出て行った。