月下の誓約
「すまない」
礼を言って手ぬぐいを受け取る。
それで顔を拭きながら和成は尋ねた。
「まだ起きてたのか。見回り?」
「あぁ、さっきまでな。もう寝るとこ」
「そっか。警備は夜警があるもんな」
和成が手ぬぐいを返すと、右近は血まみれの着物を指差した。
「着替えも貸そうか? おまえまた月見てたし」
和成は血まみれの着物をつまんでながめながら少し考える。
そして苦笑と共に断った。
「これは、いいや。たぶん明日には城に帰るし、借りても返しに来れないだろうし」
「そうか」