月下の誓約
穏やかな笑みを浮かべ、和成は紗也を見つめた。
「何も。あなたのお気持ちだけで充分です。私の処遇は軍と城の大臣たちが相談して決めるでしょう」
和成の笑顔から目を逸らし、紗也は俯く。
足元にパタパタと涙がこぼれた。
「そんな風に優しく笑わないでよ。調子狂うじゃない。どうしてそんなに冷静でいられるの?」
「まぁ、これだけまわりが騒いでいると当事者は逆に冷めてしまうみたいです」
和成は頭をかいて苦笑した。
そして未だ俯いている紗也に意地悪く言う。
「そろそろ泣き止んで下さい。でないとますますお顔がすぐれませんよ」