月下の誓約
「おまえも何かお願いがあったらきいてやるぞ。もっともここでできる事に限られるけどな」
「そうだな……」
右近は空を見上げて少し考えた。
そして和成に視線を戻してニヤリと笑う。
「だったら、アレ教えてくれよ」
「アレ?」
「ほら、昨日俺には絶対教えないって言ってた話」
「あぁ、アレか」
和成は腕を組んで、しばし逡巡する。
「塔矢殿は大笑いしたからなぁ。おまえも笑うかもな」
そう前置きして、女官たちの間で言われている和成の噂話を教えた。