月下の誓約
十分で朝食を済ませた和成は、再び紗也の部屋を訪れた。
紗也は食事を終え、身支度も整えて待っていた。
顔のむくみもわかりにくくなっている。もう泣いていなかったのだろう。
「ちゃんと剃ってまいりました」
和成があごをなでてみせると、紗也は小さく笑って言った。
「うん。そっちの方がいい」
笑顔が戻ったことにホッと安堵しながら、和成は尋ねた。
「午前中は司令所で待機することになります。膳を下げてくるまで、こちらでお待ちになりますか? それとも先に司令所に行かれますか?」
「司令所に行く」
紗也の返事を意外に思いつつも、和成は彼女を伴って司令所へ向かう。
そして情報処理部隊長に紗也を託し、膳を下げるためすぐに司令所を出て行った。