月下の誓約
和成が立ち去った事を確認すると、紗也は司令所の皆に頭を下げた。
「きのうは心配をかけてごめんなさい」
座っていた兵士たちはあわてて立ち上がり、司令所中がどよめく。
「紗也様、どうかお顔をお上げ下さい。我々に頭を下げて頂くなど滅相もございません」
隊長がそう言うと、紗也は顔を上げて訴えた。
「みんなにお願いがあるの。和成を助けて! 私が悪いんだし、私が動けば簡単なのに和成は私情で動いちゃダメだって許してくれないの。だから、よく知らないけど会議とか裁判とかで和成は悪くないってみんなに証言して欲しいの。お願い」
紗也の必死な様子に、隊長は一瞬面くらって瞠目した。しかしすぐに目を細めて静かに答える。