月下の誓約
電話口から不機嫌そうな塔矢の声が聞こえる。
『おまえ、謹慎中だろう。どこをうろついてるんだ』
「すみません。刀を研いでました」
塔矢の声が少し和らいだ。
『まだかかるのか?』
「いえ、もう終わりました」
『すぐに戻れ。話がある』
「わかりました」
電話を終えた和成は、急いで刃に柄を取り付け鞘に収めると、足早に自室へ向かった。
部屋の前には大量の書類を抱えた塔矢が待ち構えていた。
和成は部屋の鍵を開けて塔矢を中へ招き入れる。
部屋に入った塔矢は勝手知ったる様子で、机の上にドサリと書類を置き椅子に腰掛けた。
塔矢に茶をいれて差し出すと、和成もその正面に座る。