月下の誓約


 茶をすすりながら塔矢が問いかけた。


「朝飯は食ったか?」
「あ……今日はちょっと……」


 起きるのがいつもより遅れた上に、ぼんやりしていてすっかり忘れていた。
 げんこつが来るかと和成はビクついたが、塔矢は眉間にしわを寄せて睨んだだけだった。


「食えといつも言ってるだろう。朝飯抜いたら力は出ないし、頭は働かない。その証拠におまえは今、ろくでもない事しか考えていないはずだ」

「確かにそうかもしれません。でも、話というのは私の処遇についてですよね」


 塔矢は腕を組んで首肯する。
 和成は遠慮がちに尋ねた。


「あの、恥ずかしながら私は切腹の作法についてよく知りません。教えていただけませんか?」

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