月下の誓約


 塔矢は和成を見据えて問い返す。


「おまえ切腹するのか?」

「違うんですか? じゃあ、打ち首でしたら私の刀で斬ってもらう事はできませんか? 今研いできたばかりなので切れ味は抜群なんですけど」


 和成が笑顔で尋ねると、塔矢は呆れたようにため息をついた。


「楽しそうに言うなよ。おまえそんなに死にたいのか」

「死にたいわけではありません。未だに実感が湧かないのは事実ですけど、紗也様を危険にさらしたという事は極刑なんですよね?」


 和成が上目遣いで探るように見つめる。
 塔矢も和成を見つめ返しニッと笑った。


「喜べ。極刑はなしだ」

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