月下の誓約


 和成の目が驚愕に見開かれる。
 おまけに口も半開きのまま時が止まったかの様に固まった。
 塔矢が目を細くしながら冷めた調子で指摘する。


「口、開いてるぞ」


 その声に弾かれたように、和成は身を乗り出して問い質した。


「どうして、そういう事になったんですか?」

「情報処理部隊隊長と隊員による、おまえの紗也様に対する仕事ぶりの証言と、ある隊員による、おまえが”目を離した”経緯についての証言。事件発生後のおまえの対応。それからこれだ」


 そう言って塔矢は、傍らに置いた書類の山を叩いた。


「我が軍、全部隊、全兵士の署名入り嘆願書だ」


 和成は再び目を見張る。

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