月下の誓約


 塔矢は笑顔のまま、突然話題を変えた。


「そういえばおまえ、戦場で紗也様と、もしも知り合いが敵だったらって話をしたそうだな」

「はい。しました」


 塔矢がニヤリと意地悪な笑みを浮かべる。


「俺だったらソッコー斬るって?」


 和成はあわてて背筋をのばすと、手の平を塔矢に向けた。


「たとえばの話ですよ。私ごときに斬られる塔矢殿じゃないでしょう?」
「あたりまえだ」


 しれっとして答えた後、塔矢は真顔で和成を見据える。

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