月下の誓約


「塔矢殿。ひとつ聞きたいことがあります」
「なんだ?」


 振り返った塔矢に、和成はおずおずと問いかけた。


「あの……私はわかりやすい奴ですか? 私が紗也様を想っている事を右近は多分勘付いています。誰にでもわかってしまうのなら紗也様にもばれてしまうのではと……」


 塔矢は笑って断言する。


「安心しろ。おまえは非常にわかりにくい。俺も”敵だとしても紗也様を斬れない”と言うのを聞くまでわからなかった。右近はふざけてる割におそろしく勘のいい奴だな。そいつにはしっかり釘を刺しとけ」

「わかりました」


 ホッとしながら返事をした後、和成はさらに尋ねた。

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