月下の誓約
13.刑罰の真意
君主執務室では、静かな攻防が繰り広げられていた。
大きな執務机の前で待ち構えている塔矢に紗也が食い下がっている。
「どうしても罰を与えないといけないの?」
いつもは紗也に甘い塔矢も、この件に関しては折れるわけにはいかない。
「いけません。本来なら極刑に値する程の罪です。全くの不問では他の者への示しもつきません」
「だって、私が全面的に悪いのに。和成は何も悪くないし、ちゃんと私を守ってくれたのに。みんなも知ってるんでしょ? それでもなの?」
「それでもです」
「う~」
紗也は机の上に置かれた書面を睨んでうなる。
そこには和成の名前と罪状が書かれ、後は紗也がそれに対する刑罰と署名を書き加えればよいだけだった。