月下の誓約
そして呆然とつぶやいた。
「私、ためらいもなく知らない人を斬って、血まみれになっても平然としてる和成が怖くて、非難しちゃった」
紗也を守るために人を斬り、紗也の代わりに血を浴びた。
その挙げ句に、和成は極刑で命を奪われるところだったのだ。
自分の軽はずみな行動を、紗也は改めて後悔した。
俯いて目を伏せながら、ため息をもらす。
「なんか私、和成にたくさん迷惑かけて、色々傷つけちゃったんだね。すっかり嫌われちゃったかも」
その気落ちした様子がかわいそうになった塔矢は、少しだけ和成の気持ちを教えてあげる事にした。
「ご安心ください。私は先程まで和成と色々話して参りましたが、紗也様を嫌っている素振りは見受けられませんでした。嫌われてはいないと思いますよ」